honeymoon 〜お向かいさんの場合〜


「・・・出張だと?」
 読んでた雑誌から顔を出したマサキは少し不機嫌そうな声を出しつつ発言者を見やった。
「お願いですからそんな声を出さないで下さい。仕方ないでしょう?そういう辞令が出たんですから・・・」
 懐からはおそらく、出張先行きのモノと思われるチケットを出して「ふぅ」と溜息をつくシュウ。
「私だってせっかく貴方と過ごせる新婚生活を楽しみにしていたんですよ。それなのにトバされることになってしまい・・・」
「誰と誰の新婚生活だーーーっ!?元はと言えばテメェがオレを嵌めたんだろうがっ」
 旦那の言葉にすかさず反論する。
 確かに二人がここに至るまではシュウの陰謀たっぷりの策略があったからだ。
 まぁ、マサキの場合、シュウのことはあながち嫌いでもないので同居した今でも互いの仲はそうこじれてはないのだが・・・。
 だからといってって同居生活(新婚生活/爆)がまだ1週間も過ぎてないのに出張とは・・・つくづく運の無い夫婦(核爆)である。

 少なくとも奥方が『幸運』持ちであるとはにわかに信じられない。(余談だが旦那もかつては幸運持ちだ)

「ちゃんと話を聞いて下さい。確かに出張は決まりましたがチケットは2枚あるんですよ。これがどういうことかはわかりますよね?」
 珍しく真剣な声と顔をするシュウにマサキは少しその意味について考える。そして
「つまりオレとお前、二人で行けってか?」
「そういうことです」
 答えを聞くと今までの不機嫌はどこかに消えて、表情と態度が一変した。
「それでどこ行きなんだ?そのチケット???」
 普段なら自分から近づくなんて滅多にしないのにこの時のマサキは久しぶりに外に出れるということもあり嬉々としてシュウの隣に腰を下ろした。
「えっと確か南国辺りだったはず・・・」
 突然の行動に声が少し上ずる。すると、
「もしかして泳げるトコってある?」
 目を輝かせて再度尋ねられる。
「宿泊先のホテルが海のすぐ近くだそうですよ」
「やった〜〜〜vvvだったら善は急げ!!早く荷物まとめようぜ!!」
 すっと立ち上がると急いで自分の部屋にダッシュしてすぐに旅支度を始めるマサキであった。
「私と一緒に居られる事と出張先に海があるのと、どっちに喜んでいるのでしょうかねぇ・・・?」
 一人残されたシュウはフクザツな気分になり、すぐに自分も荷造りに取り掛かるため部屋に足を運んだ。


***


「そういやお前って暑いとこ苦手じゃなかったっけ?」
 搭乗手続きをすませ、旅客席(もちろん、ファーストクラス)に座ったマサキに問われると、その隣にいる旦那は、
「貴方が喜んでくださるなら大気圏突破だってしてみせますよ♪」
 にっこりと笑顔で答える。
「・・・あっ、そう・・・」
 力の無い返事を返すのみ。


***


 まぁそんなこんなで目的地に着いた二人は早速、荷物をホテルに預けて海へと向かった。
「あーやっぱ夏の海は気持ち良いな〜〜〜」
 トランクスタイプの水着を着て、泳ぐ準備OKのマサキとは反対にシュウはラフな服装にパーカーを羽織っているのみである。
「あれ?シュウは泳がねぇのか?」
「ええ、初日からハメを外すわけにもいかないでしょう?いつ呼び出しが来るかわかりませんからね。私の事はいいですから貴方だけでも楽しんでいらっしゃい、マサキ」
 さもそれが当然かのように言われ、『はいそうですか』と海で遊ぶなどマサキはしなかった。
 ただ、どこからかバケツを持ってくると、それで海の水を汲みシュウの所まで持っていき・・・
「ばっしゃん」
 なんと中の海水を頭からかぶせたのだ!!
「マ〜サ〜キ〜・・・貴方という人は〜〜〜っ」
「うるせぇ。何が『貴方だけでも楽しんで』だっ!?せっかくの出張兼旅行なんだからテメェも少しは楽しめってんだ」
 怒っている、というよりもどちらかというと拗ねているカンジのマサキは一息にそう言ったあと、
「それにオレ一人で楽しんでもつまんねぇんだよ」
 照れのせいか少し頬が紅くなっている。

「・・・・・・」
 突然の言葉にシュウは思わず口を手で抑えた。
 そしてようやっと口を開き、
「マサキ、それってつまり・・・」
「だーっもぅ、こんなこと言うのはこれっきりだからな!!それよりどうすんだ?遊ぶのか?呼び出しが来るまでそこで一人っきりになるか?」
 ここまできたら退くような男ではない。
「無論、貴方と遊びますよ。水を被せた礼もしなければいけませんしね・・・」
「えっとその・・・お手柔らかにいこうぜ、シュウ・・・」
 背後から凄まじい紫炎のオーラが見えたのはマサキの気のせい・・・ではないのは確かである。


 こうして、日が沈むまでの間、シュウとマサキのバトルが海辺で拡げられたのは云うまでもない。
 やっとそれから解放されたと夜になってマサキが喜ぶハズもなく
「まだまだお仕置きが足りませんねぇ・・・」
 と邪笑全開の旦那がその晩、マサキに何をしたかは云わずもがなんである。
 ・・・どうせ皆(誰?)の想像(つーか妄想)通りだし。

 そんでもって帰国(帰宅)の際、
「誰がテメェなんざと帰るもんかーーーっ」
 とマサキが金輪際、シュウとはもう一緒に旅行しないと誓い、一人で家路につこうとしたが天性の才能(方向音痴)がそれを阻み、迷子になって旦那の手を煩わせそれでまた『お仕置き』をされるはめになるのだがぁ・・・
 それはまた別の話である。



 後書き
  1801ゲットの逆リクの一つ、『シュウマサの新婚旅行』なんですけど・・・これってそうなってるんでしょうかね?(爆) まぁ個人的に書いてて楽しかったんですがね(^^;)
  彩斗さんがちゃんと場所設定をして下さり本当に助かりました♪
  ライリュウはともかくこの二人、というよりシュウは「誰にも邪魔されないとこv」とか言って次元割してそうですからね(笑)
  疾風瀬奈拝


 お礼状

   うって変わってこちらは南国。
   照れてるマサキが妙に可愛くてお気に入りです。
   瀬菜さま、二つも大盤振る舞いありがとうございますvv
   パパママの新婚ネタ、そろそろ書こうかな?